(サブリナの金塊、霧に消えた真実)
第一節 終焉の兆し
八角塔が金塊によって起動し、氷壁の裏に眠る「記憶の書庫」が解き放たれたとき、南極全域に地鳴りのような震動が広がった。
氷壁は鏡のようにひび割れ、その亀裂から光の奔流が溢れ出した。
その光はただの光ではなく、人類が忘却してきた全ての記憶だった。
失われた文明、抹消された戦争、秘められた契約――すべてが氷壁から空へ舞い上がり、世界中の人々の意識に流れ込んでいった。第二節 記憶の洪水
人々は同時に体験した。
自らが知らぬはずの古代都市の風景、見たことのない戦場、そして“霧の盟約”が歴史を操作してきた証拠の数々。
記憶は個人を超え、人類全体を一つの巨大な意識の海に繋げた。
人は自分自身を失いかけながらも、初めて「真実の歴史」と直面した。
だがその代償は重かった。
多くの人々は、自分が誰であるかを見失い、過去と現在の境界を曖昧にしていった。
第二節 記憶の洪水
人々は同時に体験した。
自らが知らぬはずの古代都市の風景、見たことのない戦場、そして“霧の盟約”が歴史を操作してきた証拠の数々。
記憶は個人を超え、人類全体を一つの巨大な意識の海に繋げた。
人は自分自身を失いかけながらも、初めて「真実の歴史」と直面した。
だがその代償は重かった。
多くの人々は、自分が誰であるかを見失い、過去と現在の境界を曖昧にしていった。
第三節 盟約の崩壊
霧の盟約は、この日を恐れていた。
彼らは影を供物にしてまで記憶を独占してきたが、書庫が開かれた今、その支配は終わった。
盟約の紋章が刻まれた書物や石板は次々と砕け散り、影に刻まれていた契約の文字は光へと変わり、空へ消えていった。
2000年にわたる結社の隠密な支配は、記憶の解放と共に終焉を迎えたのである。
第四節 真実と代償
人類は初めて、連綿と続く「本当の歴史」を知った。
だが同時に、その歴史を知った者は、自らの個人的な記憶を一部失っていた。
父の顔を忘れ、母の声を忘れ、あるいは自らの名を忘れ――。
記憶を取り戻すことは、すなわち「自分を失う」ことだった。
だからこそ霧の盟約は、真実を封じ続けたのである。
第五節 最後の問い
世界に響いたのは、一つの問いであった。
「真実を知ることと、記憶を守ること――人類はどちらを選ぶのか?」
答えはまだない。
だが確かなのは、南極が大陸ではなく「人類の記憶を映す鏡」であったこと。
そしてその鏡が割れた今、我々は未来を選び直さねばならないということだ。